読書空間
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たまには短編も
海の十字架 安部龍太郎
帯にある「まったく新しい戦国史観!」というのはちょっと言いすぎ。横瀬、宗像、鯏浦、由良、津軽、佐渡へと、「蝦夷太平記 十三の梅」や「宗麟の肖像」などと同じ時代、地域、人を別の視点で描いた短編六編。長編に結実すると嬉しいですが、「家康」の第3巻も待ち遠しい。
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お直し
志ん生が語るクオリティの高い貧乏のススメ 昭和のように生きて心が豊かになる25の習慣 美濃部由紀子
何と長いタイトルだろう。志ん生が語るとなっていますが、志ん生を借りて語るです。講談社の内容紹介もひどいですが、稀にみる雑なつくりの本。句はいいのに。但し、著者が挙げている句、これは川柳、俳句じゃないよ。「志ん生」とつくと手あたり次第手に取るファンの私、大失敗。
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La Carte des Vins s’il vous plaît
ワインの世界地図-6ヵ国92地域のワイン産地の歴史と今- 著 ジュール・ゴルベール=デュルバン 地図製作 アドリアン・グラント・スミス・ビアンキ
原題は「ワインリストお願いします」って訳せばいいのか?8000年の史実から識るとして、地域をワインの生産開始年代順に並べる発想が新鮮で、成功していると思います。
地図がすばらしい。生産量は2016年のデータ、2018年だとアルゼンチンと中国が増えて、オーストラリアと南アフリカが下がっている。 ちょっと古いけど、パイインターナショナルの本。
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探し続けて
すごい詩人の物語
山之口貘詩文集 人生をたどるアンソロジー 山之口貘昨年の7月19日(著者の命日)に発行されたアンソロジー、なかなか読めなくて、やっと読みました。丁寧なつくりの、行き届いた本です。
詩はもちろんいいんだけれど、時代を感じさせる言葉が、吟味され削られていることで、今ではわかりづらいところもあって、むしろ小説の方がわかりよい。歌になった詩はまだわかりやすい。「唇のやうな良心」とかいいです。
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椎名 誠 写真の本
毎朝ちがう風景があった 椎名誠
立て続けに出るシーナさんの写真本。読み切れないが、奥さんの本を読んだら読みたくなって、作家生活40周年だそうです。
さりげないけどすごい写真と、書きすぎない文、ちょうどいいんだよね。