読書空間
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貴重な資料 今となっては...
上方落語ノート 第一集 桂米朝
間違いなく貴重な資料なので、何度も版を変えて出版されるのはうれしいことです。ただ今となっては、私の年代だと、花柳芳兵衛さんが目に浮かびますが、若い世代だとまったくわからないのではないかと思います。
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3合も飲めば潰れてしまう
戦後のあだ花 カストリ雑誌 渡辺豪
面白いです。カストリ酒に喩えて名付けられた「カストリ雑誌」、その誤解を解く。内容はともかく、表紙が浮世絵風や和風のものを除くと国籍不明、どこの国の美女なのかわかりません。
労作ですが、表紙だけではなななか中身まではわかりません。目次には、結構有名な作家の名が見られます。「奇譚クラブ」とかもあるかなと期待しましたが、見当たりませんでした。タイトル数2000とも4000とも言われるうちの117冊です。
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現実には、意味がないのだ。
MISSING 失われているもの 村上龍
ほぼ同時代を生きてきた村上龍さん。熱心な読者ではないけれど、『飛行機の音ではなかった。』(限りなく透明に近いブルー)の衝撃は、今も鮮烈に覚えている。40年以上前の話だ。
昔だったらまず読むことがない、ストーリーというものが希薄な、自省、自問、追想の書だが、年の所為か妙に納得してしまう。冒頭からぐんぐん引き込まれる熟練の技。内容は違うが、高村薫さんの『土の記』が身につまされる年になってしまったんだな。
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もう一度 モジリ
もう一度倫敦巴里 和田誠
1977年8月に、「話の詩集」より刊行された『倫敦巴里』の増補・再編集版ですが、見た目はそっくり、こんなことできるんですね。もう一度とするところがね、乙です。
贋作漫画集もふとどき風土記ももちろん雪国シリーズも面白いです。ただ今となっては、故人も増えて、私でもわからない人があります。
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真実を見きわめるのに
茨木のり子 自分の感受性くらい(別冊太陽 日本のこころ277)
改めて読んでみて、やっぱりいいです。63編の詩が散りばめられた茨木のり子のすべて。何より紙面が大きい。時代を実感させられるのは、「タバコ」、黒電話、三年日記の縦書き。影響されやすい私は三年日記(横書き)を買ってしまいました。写真がすばらしい(小畑雄嗣)
今までも何回か茨木のり子さんの詩を取り上げていますが、今月の月報に「歳月」を載せよっと。