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短いお話
月とコーヒー 吉田篤弘
24の短いお話、とるにたらないもの、忘れられたもの、世の中の隅の方にいる人たちの話とあります。過剰にならず、静謐だけど、なぜか心に沁みる話。
よく思いつくな思います。名前とかストーリーとか、個人的に「三人の年老いた泥棒」よかったです。装幀・装画・挿絵、言うに及ばず。
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俳句クロニクル
大岡信『折々のうた』選 俳句(二) 長谷川櫂編
一茶、子規、虚子、楸邨、龍太と続く近代俳句の編年史。加藤楸邨「牡蠣の口もし開かば月さし入らむ」につけた、大岡信「りんりんと鳴れ舌も潮も」すごい!
わかりやすくなったけれど、楸邨、龍太亡き後「現代の俳句は批評精神を失った末期的大衆俳句に陥っているのではないか。」という編者の総括は大きい。
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たまには短編も
海の十字架 安部龍太郎
帯にある「まったく新しい戦国史観!」というのはちょっと言いすぎ。横瀬、宗像、鯏浦、由良、津軽、佐渡へと、「蝦夷太平記 十三の梅」や「宗麟の肖像」などと同じ時代、地域、人を別の視点で描いた短編六編。長編に結実すると嬉しいですが、「家康」の第3巻も待ち遠しい。
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お直し
志ん生が語るクオリティの高い貧乏のススメ 昭和のように生きて心が豊かになる25の習慣 美濃部由紀子
何と長いタイトルだろう。志ん生が語るとなっていますが、志ん生を借りて語るです。講談社の内容紹介もひどいですが、稀にみる雑なつくりの本。句はいいのに。但し、著者が挙げている句、これは川柳、俳句じゃないよ。「志ん生」とつくと手あたり次第手に取るファンの私、大失敗。
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La Carte des Vins s’il vous plaît
ワインの世界地図-6ヵ国92地域のワイン産地の歴史と今- 著 ジュール・ゴルベール=デュルバン 地図製作 アドリアン・グラント・スミス・ビアンキ
原題は「ワインリストお願いします」って訳せばいいのか?8000年の史実から識るとして、地域をワインの生産開始年代順に並べる発想が新鮮で、成功していると思います。
地図がすばらしい。生産量は2016年のデータ、2018年だとアルゼンチンと中国が増えて、オーストラリアと南アフリカが下がっている。 ちょっと古いけど、パイインターナショナルの本。