読書空間
-
輝かしい近未来
キッドの運命 中島京子
何十年後かの未来を圧倒的な筆力で描く。ありそうで、膝をたたいて笑いながら読んでいたら、やがてだんだん怖くなってくる6篇。
どれも怖いが、「ふたたび自然に戻るとき」、「ベンジャミン」はきついです。なかなか手がでず、読み切れず、ようやく読了。
-
たくさんの歌を詠みました。
青卵 東直子
第二歌集が出たのはもう18年前、『春原さんのリコーダー』から5年間491首を収めます。図書館にもほとんどなくて、読めなかったけれど文庫で復活しました。表現方法や文体が変わっても独特な感覚は変わらない。
印象的ないい歌がたくさんあります。私の一首『やわらかい腕さしのばす朝の海 帽子を脱いで父が笑った』うみはこちら
-
こころを保つために必要なもの
生きるための辞書 十字路が見える 北方謙三
週刊新潮2017年2月23日号から2019年2月7日号まで掲載されたコラムをまとめたもの。週刊誌を読まなくなって久しいので全く知りませんでした。すでに4冊目。
北方謙三は一時期ハマって、新刊がでれば読んでいましたが、今は「チンギス紀」がでれば読む程度。若い人向けの人生相談の体になっていて様々な話題が出てきます。今年から封印していた映画をDVDで見なおしているので、音楽や映画の話は大いに元気づけられます。生きるための辞書だが、勝手気ままにあるいは思いどうりにと付けたい。
-
ま、こんなもんやで
昭和も遠くなりにけり 矢野誠一
著者が同じく「東京やなぎ句会」のメンバーだった三田純市さんの死に顔を評した言葉。三田さんの「洋食屋とレストランのちがいは、テーブルにウスターソースが置いてあるかどうか」という定義、これは秀逸。
あちこちの新聞や雑誌に掲載されたものを、おおまかに五つに分けてあります。話はあちこち逍遥します。
-
楽しいことは、みんな大阪から始まった!
グランドシャトー 高殿円
たまらないなつかしさ満載、一時期よく通った京橋(グランドシャトーではありませんが、講師をしていた経理学校の本部がありました)。フィクションだけれどモデルを想像するのも楽しい。最近楽しいこと少ないし。
『ベルベット・イースター』(by荒井由実)は今日も車で聞いていたし、『パルナース、パルナース、モスクワの味~♪』、『ブンブン音をたてている真っ白でぴかぴかのナショナル製の冷蔵庫』ウルさいとは書いてないけど...