読書空間

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    師匠、死んじゃったかもしれない寄席

    甘夏とオリオン 増山実

    実際には在り得ない落語会だけど、あるような気がしてくる力のある文章で、よく調べてます。
    細かいことを言うと、前座クラスにはネタが重すぎますが、言いたいことはそこではないので。

    私も落語家になる夢を捨てて、大学出てから40年の大半を、南本町から天神橋界隈に勤め、玉出や大正にもよく商用で通いました。地名や店名が出るたびに膝を叩いて、九州へ飛んだら母方の田舎で、何たる奇遇。楽しめました。

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    20年以上の時を経て

    春原さんのリコーダー 東直子

    が文庫になりました。佐太郎の、『短歌とは「瞬間の心」を表現する詩』で納得していたら、時は流れて、ニューウェーブの歌人を超えて、東直子さんに辿り着きました。東さんの短歌の解説は解り良いですが、ご自身の短歌はふわふわ空中遊泳しているみたい。対談で川上弘美さんが『息をするように作っていたんですね。』と感心されていますが、言い得て妙です。

    独特の童話的な口語文体と不思議なユーモア感覚、そして圧倒的な喪失/希求感。

    栞文 穂村弘

    私の一首『少し遅れてきた人の汗ひくまでのちんちろりんな時間が好きよ』

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    あれから33年

    チベット 祈りの色相、暮らしの色彩 渡辺一技

    1987年3月25日、「チベットの仏教寺院を訪ねる旅」に参加した渡辺さん。以来通い続けて33年、すっかり変わってしまったけれど、『消えゆく面影を記憶に留めて、写真に残しておきたかった。』という。「ツァンパで朝食を」を再編集したものなので同じ写真だけれど、切り口が違うと違って見える。

    出版社が違うのにいったいこれはどういうことなのだろう?頭巾の刺繍が素晴らしい。

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    デビュー50周年記念

    『細野観光 1969-2019』細野晴臣デビュー50周年記念展オフィシャルカタログ

    展覧会には行けなかったけれど、楽器コレクション、蔵書、ディスコグラフィーが半端ないです。
    すごいのひとこと、贅沢な本です。

    唯一持っていた『風街ろまん』、レコードは処分してしまったけれど、どこかにカセットテープか
    MDがあるはずなんで、久しぶりに聞きたいけれど、思い出せない。

    安田成美の「風の谷のナウシカ」も細野さんだ、歌はひどかったな~。

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    「瞬間の心」を表現する詩

    佐藤佐太郎(コレクション日本歌人選) 大辻隆弘

    選者は誰か、明記されていないが、大辻隆弘の鑑賞とともに佐藤佐太郎の歌を50首よみました。鑑賞、解説はめっぽう興味深く、浮遊する「は」や虚辞「あるときは」など、佐太郎の『短歌とは情報伝達の器ではなく「瞬間の心」を表現する詩なのだ』と。解説は上々、不在なるものへのまなざし、純粋短歌。このシリーズははじめて手にします。

    とほどほ(遠々)という言葉は、漢字にしたらわかりますが、普段使わないし、意訳は曲者です。
    私の選んだ一句、「珈琲を活力としてのむときに寂しく匙の鳴る音を聞く」