読書空間
-
わたしは何でできているのだろう
誰も気づかなかった 長田弘
久しぶりに訪れた図書館、新刊コーナーで長田弘さんの本を見つけ手に取る。図書館も元の日常に戻りつつありますが、まだ貸し出し等のみのところが多い。
残された連作の断章、なくなられてもう5年になるのですね。最終連、
きみは何でできている?
誰も気づかなかった Ⅷいや、実際のところ、わたしは何でできているのだろう。
-
1981年刊
ソナチネの木 岸田衿子 え 安野光雅
古い本ですが、少しも色褪せない。新版が96年、新装版は2006年刊です。
小鳥が一つずつ 音をくわえて とまった木 その木を ソナチネの木 という
1頁岸田衿子さんの4行詩が50編。タイトルはないけれど、後ろに、四連の一行目を並べた目次のようなものがあり、これがまた50連の詩のようで。そこに安野光雅さんの絵。
17頁の「一生おなじ歌を 歌いつづけるのは」が特に好きです。
-
THE NORTH WOODS
ノースウッズー生命を与える大地 大竹英洋
写真はどれも素晴らしい。どうやって撮ったのか想像できない俯瞰の構図であったり、クローズアップであったり、他にない一瞬を捉えた写真の数々。特にクレジットはありません。
これでいいと思います。写真集にアイキャッチ画像をつけるのも変ですが、このブログのテーマの特徴なのでとりあえず。
-
100周年記念版
ドリトル先生アフリカへ行く ヒュー・ロフティング
息子のクリストファー・ロフティングが書き直した版です。ヒュー・ロフティングの挿絵に趣があっていいです。
じつはこのドリトル先生のシリーズ、アメリカでは何十年もずっと、図書館にも書店にもなかったのです。
訳者あとがきとあります。場所が特定できるのは、カナリア諸島ぐらいだと思われますが、差別的な言葉やエピソードがいくつか出てくるのが理由らしく、読んで、懐かしさはあったものの、子供のころのような感動は湧いてこなかった。年かな。
-
本物?ニセモノ?
如何様 高山羽根子
インチキ、八百長。「真実は一つ」なんて言いますが、真実は幾通りもあって、『如何様』では、贋作つくりの復員兵の真偽を廻って、『ラピード・レチェ』では、駅伝らしき競技(最後まで駅伝という言葉は出てこない)の指導者として北欧に近い国で、思考は揺蕩う。文章は饒舌で不思議な読後感。