• ほぼ日記,  独り言,  読書空間

    ここに言葉があった

    定本 私の二十世紀書店 長田弘

    40年の時を経ての再読です。(前は中公新書版)40年前にも、「私の二十世紀書店 目録」(150冊ぐらいのリスト)をコピーして、読書計画をたてたと思われます。その選択が今回のとよく似ています。ここから始めます。

    二十世紀という時代の読みかたを、一人のわたしに親しくおしえてくれた本たちについての本である。...日本語に訳されている本だけをここにとりあげたのは、それが日本語で読める世界の言葉だからだ。

    あとがき
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    本音の歌

    田辺聖子の万葉散歩 田辺聖子

    1927年に、主婦之友社が「萬葉百種繪かるた」制作のために選出した百首を田辺聖子さんが読み拓いてゆく。四千五百十六首の中の百首だけれども、恋の歌は特にいいです。

    いさましい歌を言上挙げしつつ、一方で本音の歌を当時の人々は支持していたのではなかろうか。この「萬葉百首選」には『万葉集』と当時の国粋主義との蜜月を示す作品も採られているけれども、恋歌も叙景歌もひとしく拾い上げられて、当時の人々の目くばりがゆきとどいていることを思わせる。

    10頁

    子規、芭蕉の次は「万葉集」、楽しみが増えました。

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    棗ではなく骨壺

    高峰秀子の反骨 高峰秀子

    この本には、エッセイの他、生いたちの講演や前の東京オリンピックの映画をめぐっての新聞への寄稿、衆議院の委員会での発言がおさめられていて、時代を超越して非常に面白いです。

    中でも、旦那さんの骨壺を作る件が特に面白いです。(未読ですが、そのものズバリ『ダンナの骨壺』というエッセイ集があります。)写真はまったく無関係な棗です。骨壺はトマトぐらいの大きさで、美しい朱色、ふたには蝶貝で桜の花びらが一枚、象嵌されているそうです。

    頼む方も頼む方ですが、引き受ける黒田辰秋さん(木工の名人)も面白い人で、

    ご用があるまでキャンディでもお入れになったらいいでしょう、二十年もたちますと下地の金箔が浮いてきて、いい味になると思います。

    黒田先生の手紙 講演 私の生いたち

    ですって。

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    水枕ガバリと寒い海がある

    冬の桃 神戸・新神戸・俳愚伝 西東三鬼

    去年刊行された新潮文庫の『神戸・新神戸』を読みましたが、なぜか『俳愚伝』が落ちていました。

    最初、出帆社から出て、2年後に『冬の桃』と改題して、毎日新聞社から出ています。帯文も同じ五木寛之で、もう40年以上前の話。今回読んだのはこの中の『俳愚伝』。

    これは昭和八年から俳句に没入した私の、個人的な手記である。

    俳愚伝 まえがき

    すこぶる面白い。とりわけ、『5「天香」の創刊まで』金子兜太の件。 

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    こころを保つために必要なもの

    生きるための辞書 十字路が見える 北方謙三

    週刊新潮2017年2月23日号から2019年2月7日号まで掲載されたコラムをまとめたもの。週刊誌を読まなくなって久しいので全く知りませんでした。すでに4冊目。

    北方謙三は一時期ハマって、新刊がでれば読んでいましたが、今は「チンギス紀」がでれば読む程度。若い人向けの人生相談の体になっていて様々な話題が出てきます。今年から封印していた映画をDVDで見なおしているので、音楽や映画の話は大いに元気づけられます。生きるための辞書だが、勝手気ままにあるいは思いどうりにと付けたい。