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やっと動き出す
虎落 チンギス紀七 北方謙三
7巻目にしてやっと動き出しました。筋を追うだけだと1日で読み終えられます。電車通勤に戻って初日、一気に読み終えました。次は7月か、待ち遠しい。
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現実には、意味がないのだ。
MISSING 失われているもの 村上龍
ほぼ同時代を生きてきた村上龍さん。熱心な読者ではないけれど、『飛行機の音ではなかった。』(限りなく透明に近いブルー)の衝撃は、今も鮮烈に覚えている。40年以上前の話だ。
昔だったらまず読むことがない、ストーリーというものが希薄な、自省、自問、追想の書だが、年の所為か妙に納得してしまう。冒頭からぐんぐん引き込まれる熟練の技。内容は違うが、高村薫さんの『土の記』が身につまされる年になってしまったんだな。
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本物?ニセモノ?
如何様 高山羽根子
インチキ、八百長。「真実は一つ」なんて言いますが、真実は幾通りもあって、『如何様』では、贋作つくりの復員兵の真偽を廻って、『ラピード・レチェ』では、駅伝らしき競技(最後まで駅伝という言葉は出てこない)の指導者として北欧に近い国で、思考は揺蕩う。文章は饒舌で不思議な読後感。
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水枕ガバリと寒い海がある
冬の桃 神戸・新神戸・俳愚伝 西東三鬼
去年刊行された新潮文庫の『神戸・新神戸』を読みましたが、なぜか『俳愚伝』が落ちていました。
最初、出帆社から出て、2年後に『冬の桃』と改題して、毎日新聞社から出ています。帯文も同じ五木寛之で、もう40年以上前の話。今回読んだのはこの中の『俳愚伝』。
これは昭和八年から俳句に没入した私の、個人的な手記である。
俳愚伝 まえがきすこぶる面白い。とりわけ、『5「天香」の創刊まで』金子兜太の件。
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輝かしい近未来
キッドの運命 中島京子
何十年後かの未来を圧倒的な筆力で描く。ありそうで、膝をたたいて笑いながら読んでいたら、やがてだんだん怖くなってくる6篇。
どれも怖いが、「ふたたび自然に戻るとき」、「ベンジャミン」はきついです。なかなか手がでず、読み切れず、ようやく読了。