読書空間
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本音の歌
田辺聖子の万葉散歩 田辺聖子
1927年に、主婦之友社が「萬葉百種繪かるた」制作のために選出した百首を田辺聖子さんが読み拓いてゆく。四千五百十六首の中の百首だけれども、恋の歌は特にいいです。
いさましい歌を言上挙げしつつ、一方で本音の歌を当時の人々は支持していたのではなかろうか。この「萬葉百首選」には『万葉集』と当時の国粋主義との蜜月を示す作品も採られているけれども、恋歌も叙景歌もひとしく拾い上げられて、当時の人々の目くばりがゆきとどいていることを思わせる。
10頁子規、芭蕉の次は「万葉集」、楽しみが増えました。
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目から鱗
カラスはずる賢い、ハトは頭が悪い、サメは狂暴、イルカは温厚って本当か? 松原始
が落ちる記述満載です。読みやすく面白いです。でもね、しばらくするとまた鱗がね、目を覆っちゃうんですね。残念ながら。
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スクワット しゃがんだままで 立てません
シルバー川柳10 全国有料老人ホーム協会+ポプラ社編集部
スクワットをしていたら、中腰が維持できず、しゃがんでしまって立ち上げれない。ととれば何とか意味は通じますが、何か物足りない。
それとも、スクワットしようとするが、何かの都合でしゃがんだ際にそのまま立ち上がれないということか。突っ込みどころ満載ですが、まあいいか。
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久しぶりに本を買う
別冊國文學・NO.8 芭蕉必携
先ごろ読んだ、加賀乙彦さんの『わたしの芭蕉』で、参考文献として挙げられていた『芭蕉必携(1995年)』の古書。初版1981年とありますが、今回購入したのは、昭和55年12月10日発行となっていて、微妙に違います。
何しろ40年前の本、いくつか版があるようで、アマゾンで探したら、古書で8,000円もするので手が出ず、時々利用する「日本の古本屋」で、1,000円のを見つけました。(北海道からの送料310円、但し、流行りのマルジナリアではありませんが、線の書き込みあり)
市の図書館には「特装版」があるので貸出予約しています。南大阪でこの書名の本があるのはここだけです。
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急ぎすぎ
われもまた天に 古井由吉
未完の遺稿集。何作か読んだことはあるけれども、それほど熱心な読者ではない。なのにたまたま手に取った遺稿集がとても身につまされる。亡くなられる半年前まで現役で書き続けておられたとは感服します。残念です。
こちらが年を取ったせいか、若いころには理解できなかった多くの言葉が身に沁みます。