読書空間
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REQUIEM for TAMA
タマ、帰っておいで 横尾忠則
2014年5月31日に亡くなった愛猫『タマ』の絵、およそ90枚。一番新しい絵が2020年の制作。6年たっても描ける、ずっと思いが消えないのでしょうね。タマが横尾さんに見えてきました。
桜のカーペットの道をグラマラスに歩くタマ、いいな、棕櫚の樹の下に眠る。
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万物は犬によって創られた
ヒト、犬と会う 島泰三
アイアイ博士が解き明かす、人間と犬、運命共同体としての関係の特異性と起源。
なかなか本題がはじまらないもどかしさ、正確を期すあまり読み辛い文、イラチな私はかなりイライラしましたが、内容は刺激的ですばらしい。
犬は人間的な心の特性の誕生のすべてに関係している。
まえがきヒトが人となる直前の狩猟採集民、イヌが犬になる前の野生動物、その双方に何が起こったのかを、イヌの側から見る視点が必要となる。
第三章 犬の力 -
水枕ガバリと寒い海がある
冬の桃 神戸・新神戸・俳愚伝 西東三鬼
去年刊行された新潮文庫の『神戸・新神戸』を読みましたが、なぜか『俳愚伝』が落ちていました。
最初、出帆社から出て、2年後に『冬の桃』と改題して、毎日新聞社から出ています。帯文も同じ五木寛之で、もう40年以上前の話。今回読んだのはこの中の『俳愚伝』。
これは昭和八年から俳句に没入した私の、個人的な手記である。
俳愚伝 まえがきすこぶる面白い。とりわけ、『5「天香」の創刊まで』金子兜太の件。
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共存へ向けた関係刷新の道
侵略者は誰か? ジェームズ・スタネスク ケビン・カミングス
『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』とか、なんか変だと思って見ていました。原題は『Ethics and Rhetoric of Invasion』、外来種駆除の根幹をなす軍事的・排外的論理を問い直し、動植物との共存へ向けた関係刷新の道を探る論考集。やっと読み終えました。
越境する生命たちの運命は、科学と政治だけに委ねられる事柄ではない。それは文化の問題であり、言説の問題であり、正義と倫理の問題でもある。
訳者あとがき 井上太一ピーター・ケアリーの『異星の快楽』(The Pleasure Bird 後 Exotic Pleasures ?)、PBも手に入り難くそうだし、(Kindle にはあり)どこか翻訳お願いします。写真はオオカバマダラ。
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ふたりの戦場カメラマン
キャパとゲルダ ふたりの戦場カメラマン マーク・アロンソン&マリーナ・ブドーズ
キャパの本や写真はいくつか読んだり見たりしていますが、ゲルダの写真は初めてです。何故今二人の伝記なのかと思いましたが、それについては著者が語っています。
キャパとタローの伝記を書くことは、自分の原点にさかのぼるようなものでした。
マーク・アロンゾ この本を書くに至った経緯大切なのは、たとえ自分でもよくわかっていなくても、自分の可能性を見抜いてくれる人とであうことです。
マリナ・ブドーズ 「可能性を信じて」漢字にルビがふってあるのでおかしいなと思っていたのですが、中学生向けの本でした。人物索引、地図、年表他しっかりした内容で、少し難しいけど、これを読む中学生は頼もしい。